「――なあ、シャル」
誰も居ない客室で、リオンは愛剣に問い掛ける。
「僕は……彼女に相応しい男になれると思うか……?」
《坊っちゃん……》
「ヒューゴの事になると我を忘れ、マリアンには何時も心配を掛けて……こんな事では、彼女の隣に立つ資格なんて無いんじゃないかと、思ってな」
窓から入ってくる日光が眩しい。少年は、自分の首のネックレスに触れる。
「彼女は凄い人だ……常に冷静で、強くて、フィンレイ様にもよく誉められていた」
《坊っちゃんだって、よく誉められていたじゃないですか》
「そう、だが……、他にも彼女を高く評価する人は多い。僕とは全く違う……強さだけじゃない、人柄的な意味でも」
彼女との距離はこんなに離れていただろうかと、彼は天井を見上げた。
「現に、彼女はスタン等と打ち解けている。それを見て思うんだ……僕は、彼女を縛り付けているんじゃないかと」
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bkm
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