「セシルがよく此処に来て、空を見ていた」
「……なるほどね」
納得の言葉と共にルーティは空を見上げた。月と星が輝く夜に微笑を浮かべる。
「天体観測するには丁度いいかもね」
「似合わんな」
「確かに、アタシは小銭並べてる方が好きね」
「強欲の魔女め……」
“2人きり”の会話、どうしても出てくるのは憎まれ口ばかり。だがそれで良いのかもしれないと思えるのは、やっと前を見る事が出来るようになったからか。
「強欲っていやァね、何事にもお金の問題が立ちはだかるわね」
「オベロン社は全財産を復興に使うと言ってしまったからな、これからどうなるか……」
「天下の廻り物とは言うけど、その天下がしっかりしなくちゃねェ」
「地図の書き直しだと観測班は嘆いているがな」
それは仕方ないと笑ったルーティだったが、ふと視線を足元に落とした。
急に物静かになった姉を不思議に思っていると、彼女は再び顔を空に向けを口を開く。
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