飛行竜が瓦礫に衝突しない様に飛ぶが、ダイクロフトと一定の距離を保っていた。そして皆、それを見続ける。
「……これから……だな」
スタンが呟き、皆は頷く。
それから流れる沈黙の中、不意にルーティがリオンの手を握った。
「ルーティ……?」
「泣いたらいいじゃない」
「え……」
その言葉が胸に突き刺さった。
「帰ったら、泣いてる暇なんて無くなるんじゃない」
「…………」
手が震えている。どちらかではない、どちらの手も震えていた。
弟は歯を食い縛り涙を流す。すると姉が彼を抱き締め、声を殺し泣いた。
様々なモノを理不尽に奪われ、幼い頃から共に過ごした家族が居なくなってしまった姉弟はその場に座り込み哀しみを共感する。
「……スタンさん」
フィリアがスタンの背中を押し、ウッドロウが頷く。
後押しによりスタンは姉弟の傍に膝をつき、2人を抱き締めた。
「……スタン……!」
「……っ」
そして姉弟は声を上げて泣き、青年はそれを受け止める。
哀しみを乗り越え、掴んだ未来を見る為に。
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