最後の剣を持つスタンは、4本の剣が刺さる神の眼の前で呟く。
「ディムロス……俺……」
《いいのだよスタン、我等は長く生き過ぎた》
彼は優しく話した。
《本来ならば千年前にこの時を迎えなければならなかった。だが我々の力が及ばぬばかりに、悲劇は繰り返された。彼女の事も、認知出来ていれば救えたかもしれんしな……》
揺れは続いている。
《だが皮肉だな、我はお前と過ごした時に“幸せ”を感じてしまった。コレは悲劇が起きたが故の感情……軍人としてあるまじきモノだ》
「確かにそうかもしれない……でもきっと、人間ってそういうモノだと思う。幸せの価値を知っていれば尚更、そう思えるんじゃないかな」
《……なるほど……お前に覚らされるとは、我も未熟だな》
その言葉には清々しさが感じられた。
「それに、多分彼女も幸せだったと思う。現実は哀しいモノだけど、俺が知ってる彼女は幸せそうに見えた……きっと大事な人と一緒だったから」
強く彼は断言する。
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