12

 リオン等と行動を共にしていた時とは全く違う、冷たい口調。

 そして全く真意の見えない、情の無い眼。


「一応弱点となる部分は把握しているが……仮に自害でもされたら、余計に面倒な事になるだろうな」

「君の言う事なら聞きそうだが」


 バルックはリオンの真意を知っている。知っているが故の言葉。

 しかし彼女は、笑い捨てた。


「ハッ、馬鹿馬鹿しい……あんな子供にこれ以上労力を使うなんて私はゴメンだ」

「では、全ての準備が整ったら……」

「当然、彼もソーディアンマスター……我等の駒に成り得ないなら、煩わしい障害に過ぎんからな。
 失う戦略はたった一本のソーディアン、問題はあるまい」


 何故自分より遥かに若い彼女が此処まで非道になれるのかが、彼には理解出来ない。

 彼も自身が非道の道を歩んでいると自覚しているが、それを忘れさせる程に目の前の女は冷たい。

 理解出来るとしたら、それを成し得るに相応しい“力”を彼女が持っている事だけ。


「そう……彼は、彼等は、我等の悲願を成就する為の役者……全ては運命なんだよ……」


 だとしたら、何と哀しい運命か。


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bkm

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