もう、何度目かも分からない苦笑を彼は溢す。
だがスタンは、自分の意見を変えなかった。
「でも凄いですよ! バルックさんは自分の考えを曲げずに、この国の人達の為に頑張ってるじゃないですか!」
「――フフ、君は真っ直ぐに物事を捉える事が出来るんだな。リオンが普段と違うのは、もしかしたら君のおかげなのかな」
「……? どういう事ですか?」
「彼を知る者として、客観的な意見を述べただけさ。彼は分かりやすい所があるからね」
楽しそうにバルックが笑うと、オフィスの女性がやって来た。彼女は一礼し、丁寧な口調で話す。
「皆様、軽食にフルーツを用意しました。よろしければどうぞ」
「……ねェ、もしかしてリオン既に食べてたりするかい?」
「はい、何故かフルーツを持って別の部屋に行ってしまいましたが……」
「ちゃっかりしてるわねアイツ……。でも食べない選択肢は無いわね、此処でしか食べれないフルーツもあるだろうしねー」
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bkm
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