「……セシル……!」


 動こうとすると身体が悲鳴を上げた、だが彼は止まらない。彼女は、涙を落とす。

 少年は闇の炎を纏ったソーディアンと短剣を振り上げる。


「奥義!」


 1歩を踏み出し、己の晶術を消滅させると同時に双剣を振り下ろした。


「浄破滅焼闇!!」


 重い余波の中で闇の炎は広がり、彼女に襲い掛かる。拘束が解けた彼女は眼前に迫ったそれをソーディアンを盾にして防いだ。

 彼女の力ならばやり過ごせるかもしれない。だが、そのソーディアンは限界を迎えていた。


「あ、っ……」


 見開かれた赤い眼。

 コアクリスタルと刃が砕け、彼女の身体は後方へ吹き飛ばされる。


「はっ……っ……」

《坊っちゃん、しっかり!》


 ソーディアンだった物が床に落ち、術の余波が消えリオンは両膝をつく。

 晶術と奥義、そしてミクトランの超上級晶術の余波に対する抵抗。それ等をほぼ同時に行った身体は、必要以上に疲労していた。


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bkm

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