彼女の攻撃は一撃一撃が重く、速さは以前より増している。
全てが、リオンの能力を上回っている。
《坊っちゃん!》
「くっ……」
シャルティエを握る手が痺れ、その重さを実感する。
顔をしかめている間に彼女は距離を詰め、ソーディアンを振り上げていた。
「くそ……!!」
シャルティエで受け止めたその一撃は今までで一番重い。その状態のまま2人は力の勝負をする。
ただ、それだけ。
《セシルが神の眼で生きているなら、この状態のまま零詠唱で晶術が使える筈なんです……》
「ああ……だろうな……!」
彼女は全く術を使わない。遠距離攻撃は使用するがそれは障壁が必要になる程のモノではなかった。
その意味の答えは、運命に翻弄され続けた彼女の心にあるだろう。
《グレイブ!!》
彼女の足下から突き出る岩槍はやはり避けられたが、それが目的だった為術の使用は成功と言える。
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bkm
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