此処で手を伸ばせたら、此処で抱き締められたら、そう考えてしまう。だが両者の手にはソーディアンが握られている、選択の余地は最初から無かったのだ。
「……スタン、あのロクデナシを、絶対に仕留めろ……!」
「ああ……!」
他の4人はミクトランに向かい駆け出す。
互いに想い合いながら噛み合う事が出来なかった2人は距離を取り、ソーディアンを構えた。
「シャル、気兼ねはするな……全力で行くぞ!!」
《勿論です、坊っちゃん!!》
床を這う巨大な衝撃波を斬り防ぎ、彼は駆ける。
スタンはミクトランと斬り結ぶ。
「お前は、どれだけの人を不幸にするんだ!」
「愚民が王の糧となるのだ、これ以上の幸福はあるまい」
《貴様も千年前と全く変わらんようだな、その驕りが敗北を生むと知れ!》
数歩スタンが後ろに下がると、氷柱と風矢と光線が一斉にミクトランを襲う。
障壁でそれを防いだ天上王に、青年は炎を纏った剣を手に挑む。
「負けてたまるか!!」
運命を翻弄した者と、運命に翻弄された者。
この運命に終止符を。
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