氷塊がミクトランの眼前に迫ったが、障壁が妨害し粉々に砕け散る。
術者であるルーティは歯を食い縛っていた。
「ウチに来た子に居たわ……親に虐待されて、反抗する事を知らない子……手を拭いてあげただけで、何回もありがとうって言うのよ……。アンタはそれと同じ……逆らえない様に自分の妹をしつけたただけじゃない……!」
アトワイトを握る手は震えている。
「何が家族の絆よ、笑わせんじゃないわよ!! 傍で妹が苦しんでるのが分からない上にふんぞりかえってる兄貴が偉そうにしてんじゃないわよ!!」
複数の炎の塊がルーティ目掛け襲い掛かるが、スタンがそれを全て斬り落とした。
「ルーティの言う通りだよ……家族っていうのは、一番身近な助け合える人の筈だ。お前のやり方は、シワトルを道具みたいに使ってるとしか思えない」
「貴様等の定義に私を当て嵌めるな」
「お前はそうかもしれない、でもシワトルは違う」
青年は断言する。
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bkm
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