「確かイレーヌさんの時、手の甲にレンズが……」
《イレーヌのアレはシワトルを元に成されたというわけか……。だが成功例を元にしたところで、資質の無い普通の人間に施せばただでは済まなくなる……》
イレーヌは抑圧していた感情が暴走していた、対してシワトルは一切感情を見せない。
神の眼を核に動く女、何と例えるのが適切かはすぐに分かる。
「まるで、人形だな……」
怒りが孕んだ言葉をリオンが呟く。
「醜いという理由で親から見捨てられた自分に、存在理由をくれた兄……妹の“心”に対して応えた結果がコレかミクトラン!!」
「何故貴様が激怒する。我が両親は先天性の病を持ち、肌が壊死し、片目が見えず、歩けない“可哀想”なシワトルを一族の恥と蔑み、食事する碌に与えなかった。その代わりに私が妹を育て、天上に上がり病と共に生まれ持った才能を存分に発揮させた。
その過程で私は神の眼を使い彼女の病を治し、彼女は更に私の為に尽くした……それだけの、よくある“家族の絆”だろう?」
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bkm
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