セシルは操られ望まぬ事をさせられていた、それでいい筈なのだ。


「…………シワトル、ミクトラ……」


 彼は知っている、そこに居る者の眼を、“彼女”が時折見せいた冷たく哀しい“何か”を。

 セシル・オルグレンは存在しない、その意味を彼は理解しつつあった。此方を動揺させる為の罠だという可能性はあるが、その場から動かずに“あの眼”を見せているシワトルが“誰”なのか自分の中に認めたくない答えが完成しつつある。


「シワトル=ミクトラ……それが、彼女の過去というわけか……っ」


 ミクトランが悪意に満ちた笑みを見せる。


《最初からシワトルに飲まれていたという事か……!》


 対極も何も無い、2人の女性は同一人物、第2の天上王、ミクトランの妹。ミクトランと共に外郭完成の為に暗躍していた女。

 そして、迷い続けていた人。


「セシルが天上王……でも、仲間である事には変わらない!!」


 危うい程に真っ直ぐなスタンの意見に皆は同意する。


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bkm

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