《やはり協力者が居たか……!》
「協力者? ……違うな」
ディムロスの発言を鼻で笑いミクトランは“名前”を呼んだ。
「シワトル!!」
よく響く声、呼応して一瞬だけ輝く閃光。
それが消えると、ミクトランの斜め後ろには中性的に見える女性が1人立っていた。その姿に皆は、敵の前だというのに驚きの表情を晒す。
「嘘だろ……」
《……馬鹿な……》
長く鮮やかな金色の髪に、右が白く濁った赤い瞳、そして長身の姿はミクトランと特徴が似ていると言える。ただそれ以上に、顔の右部分と右手にある幾つもの黒い痣に視線が向いた。
天上王は“1人”ではない、その本当の意味を彼等は理解する。
「シワトル=ミクトラ、私と血を分けた双子の妹にして、第2の天上王だ」
天上王は“2人”居る、それが真実。
《双子の妹だと……その情報は一切……!》
「当然だ、何故最愛の妹の存在を貴様等に教えなければならない」
“最愛”、天上王から出た言葉。
だから確信する、ベルクラントでの出来事の意味を。
「……セシル……!」
少年はその名前を呼んだ。
だが天上王はそれさえも嘲笑う。
「だから、勘違いしてもらっては困る」
この男は常に覆す。
「セシル・オルグレンなどという者は、どの時代にも存在しないのだよ」
今だって、そう。
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