それに、とルーティはアトワイトを構え低く呟く。
「アンタだけは許さないわよ……家族を壊した償いもさせないわ……」
ミクトランに対する感情はスタンよりも大きい。だから彼女は自分を落ち着かせ、天上王の隙を探す。
「数なんぞ力で捩じ伏せればいい、今がその時だ。……だが」
不適ではない、嘲笑でもない、意図不明の笑みを男は向ける。
「家族を想う気持ちだけは理解してやらんこともない」
「ふざけた台詞を吐くなミクトラン」
「私はふざけたことなんて一度も無いが?」
怒りを顕にする少年に言い放った。
「そもそも、天上王が1人だと誰が言った」
「なっ……!」
予想していた事態は現実になろうとしている。天上王は1人ではない、それを聞いた瞬間ソーディアンマスター達は更に敵意を向けた。
それでも仕掛けないのはミクトランに隙が全く無いから、その背後にある神の眼も一因はある。
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bkm
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