何事も無く飛行竜はダイクロフトに足をつけ着地する。ソーディアンマスター達はそのまま暫く待ってみたが、変化は起きなかった。
「中に入って来いっていうご招待かしらね……」
「どんな状況であろうと選択肢は中に入る一択だ、馬鹿馬鹿しい」
「そして、一気に奥まで……だよな」
取るべき行動は極々単純で、そして非常に難しい。リハーサルなんてあるわけがない、此方の力を信じて突き進むだけ。
フィリアが飛行竜を上空待機状態に切り替えた後、彼等は竜を降り希望から絶望に変わったその要塞に立った。
「……ディムロス、どうだ」
《機兵の気配はしないな……レンズ反応も、変わった所は無い》
若者達の目の前でそれは、誘い、飲み込もうと大口を開けている。
だが彼等は誘われもしなければ、飲み込まれるつもりも無い。王がふんぞり返る領域の中で、内側からその野望を打ち砕こうとしている。
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bkm
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