マリー・エージェント、彼女は記憶喪失らしい。だが現在の明るさと、好奇心旺盛な部分な所を見ると、とても記憶喪失とは思えなくもある。

 しかし記憶喪失によりその様な性格である事も考えられるが、相棒であるルーティは今の彼女のままでも構わないと言っていた。

 ゆっくり、気長に思い出していけば良いと。


「にしてもやっぱり暑いね……、リオン、早くバルックの所行こう」

「ああ。――おい、バルック基金のオフィスは何処にある」


 少し離れた場所から此方の様子を窺っていた地元の人間らしい男にリオンは声を掛けたが、男は何も答えずに去ってしまう。

 リオンの訊き方が不味かったのか、と恐らくは微塵にも思っていないであろうスタンも敬語で明るく声を掛けたが、同じ反応だった。


「……何か、歓迎されていないって感じね」

「出発前にレンブラント殿が言っていたね、この国の人々は外国に対して大きな敵対心を持っている、ってさ」



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bkm

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