だが何となく違和感があった。何処か鬼気迫る様にも思える真剣な科学者の表情、これから行う事を考えればそれは違和感には成り得ない。
だが拭えぬ違和感、その原因を知る為にリオンは訊いた。
「レイノルズ、何か気掛かりがあるのか?」
「……此処で無いって言えたらいいんだけどね……」
レイノルズは持っていた書類をリオンに手渡す。
その内容を確認し、違和感の理由が分かった。表情には出さず、リオンは作業を続ける彼を見る。
「僕は科学者だから……100パーセントを導き出さなきゃ」
「…………」
何も言わずに書類を返すと、彼は手を止め笑みを向けた。
「今の飛行竜なら間違いなく外郭を越えられる、だからあとはその道を開くだけ……僕に出来るのは、“それだけ”なんだ」
「……お前は優秀だな」
「優秀なら、有りもしない可能性を未だに頭の中で考えたりしないよ」
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bkm
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