ジャケットに腕を通し、ソーディアンを腰に下げ、ブレスレットを付け直しリオンは後ろに控えているマリアンの方を向く。


「じゃあ……行ってくる」

「気をつけて、行ってらっしゃい」


 何時ものやり取りと、何時もの笑顔の見送り。何時も通りだから、何時も通りの事が出来る筈。

 離れを後にし彼が向かうのは城の庭、そこに砲口が空に向けられた集積レンズ砲がそびえ立っていた。自然豊かな庭の中に立つその存在は圧迫感が感じられる。

 砲台の根本で最終調整を行っている杖をついたレイノルズにリオンは声を掛けた。


「作戦は実行出来そうか、レイノルズ」

「うん、レンズの数はバッチリだし、限界ギリギリまで出力を上げたから……外郭を撃ち抜く事は出来る筈だよ」

「そうか……撃ち抜く場所は決まってる……な、そこまで計算しているだろうし」

「……うん……全部計算して、確実にイける所をね……それが科学者だから。街の人達にも作戦は伝えられてるんだし、失敗は許されないよ」


 声に明るさは無い、疲労か、それとも緊張のせいだろうか。


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bkm

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