誰も居ない休憩所、そのベンチに座り彼は見上げる。

 当然空は見えない。


「……僕は、自分の事ばかりだな」


 そう自分に呟く。


「今更何を言ったって仕方ないのに……一緒に居ればよかったとか、無理に聞き出せばとか……」

《それが人間ですよ……でも坊っちゃんはそれを乗り越えようとしてる、自慢のマスターです》

「お前はホントに、口が達者なのかそうじゃないのか……」


 笑う少年は、愛剣の柄を握り締める。


「過去は変えられないんだ……例え変える事が出来ても、僕は絶対にその選択肢を選ばない……過去を変えるなんて、きっと神でも許されない」

《愚かにもその神になろうとしてるのがミクトラン……何だか、ファンタジックな言い回しですね》

「本の読み過ぎだな」

《ですね》


 眼を閉じれば記憶の中にある空は広がる。だがそれは過去でしかなく、現実ではない。

 記憶を現実にする方法は1つしかないのは今更考えるまでもないだろう。


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bkm

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