不用意に手伝っても迷惑を掛けるだけ、そう説明すると彼女は納得した。
「餅は餅屋、だね」
「ん?」
「アクアヴェイルの諺、結局専門家に任せるのが一番だって事」
「なるほど」
彼女の知識は他国の文化にも伸ばされているのだろうか。
ふとシャルティエが呟く。
《天気の良い日に外で紅茶を飲みながら読者とか、セシル似合いそうだよね》
「何か、貴族の休日みたいだね……私にはちょっとな……」
《でも読者以外は今やってるよ?》
「あー……そうだね」
シャルティエの言葉をリオンは想像してみる。彼女は首を捻ったが、かなり絵になると感じた。
しかしぼんやりしていたのかセシルが首を傾げながら声を掛けてくる。
「リオン?」
「んっ……あ、何だ?」
「……ううん」
優しく、彼女は微笑んだ。
「……セシル」
「うん?」
「楽しいか?」
「うん」
彼女の幸せは、一体何だろう。
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bkm
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