「今日の紅茶はね、フィッツガルド産の物なんですよ? 味と香りのバランスが良くて飲みやすいんです」
「マリアンが入れるお茶は何時も飲みやすいけどな」
「ありがとうございますリオン様。セシル様も、同じ事を言ってくださいました」
「……そうなのか?」
隣に座るセシルに訊くと彼女は頷いた。
「マリアンが淹れたお茶は美味しいです……飲んでると安心します」
「ありがとうございます、セシル様」
マリアンが笑顔になるのは勿論、セシルも柔らかい笑みを浮かべている。その光景は、少年に安らぎを与えていた。
「マリアンは、リオン様と仲が良いんですね」
「まあ……割と話しますかしら、色々。セシル様が私に敬語を使っているのは、リオン様が居るからですか? 何時もはくだけた話し方なのに」
「それは、マリアンもでしょう」
互いを見て笑う2人、リオンは紅茶を一口飲んだ後遠慮がちに告げる。
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bkm
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