マリアンが居たのは間に立つ為だったのかもしれないが、見事に彼女の策略にどちらもハマってしまった。コレも彼女なりの思いやりだろう。
ならば取るべき行動は1つ。
「行くぞ……身体は大丈か?」
「はい……」
先程シャルティエに言われた眉間のシワを直し彼はセシルと共に庭へ向かった。
当然外は天気が良く、風もそこまで強くはなく散歩するには申し分ないだろう。
「……城が綺麗に見えますね」
「うん……そうだな」
青空の下のセインガルド城は美しく見えるが、それもリオンには見飽きたモノ。しかし彼女が言うと、不思議と改めてそう思えてしまう。
「ですが……雨、降りますね」
「え……何故だ? 雲はあるが、降りそうには……」
「城の向こうにある、あの雲群……雨が降る前兆です」
「そう……なのか」
知識を披露する彼女の顔は、やはり“あの顔”。楽しそうで、偽りなんぞ微塵も感じさせない。
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bkm
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