謝罪の言葉が更に苛々を増幅させる。
そして気付く、今の彼女と外に居た彼女は全くの別人だと。
「謝るな……そんな言葉必要無い」
「しかし……」
彼女が偽りに塗り固められている様に感じて、嘘をつかれている様に感じて、ぶつけ方が分からない怒りは苛々に変わる。
嘘なんて慣れている筈なのに、まるで裏切られたかの様な失望感が彼を襲う。
「お前は、お前の好きにすればいい……僕には関わりの無い事だ……」
気付けば双方食器が空になっている。リオンは立ち上がり黙って2人分の食器を持った。
セシルは慌てて止める。
「わ、私が運びます……」
「いい、お前は寝ていろ」
眼を合わせずリオンは部屋を出ようとしたが、ドアの前で立ち止まった。
「……また……空が見たいなどと思ったら僕に言え……一応、付き添ってやる」
「え……」
「暫くは1人で出歩くな……だが、息抜きだっているだろ……分かったな」
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bkm
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