人それぞれ、疑問はそれで解消される。だがリオンは、納得が出来なかった。
「なら、お前自身が必要とする人間は居るのか」
「……私が……」
無意識に出た質問に、彼女の眼は一瞬揺れる。
「さあ……分かりません……他人の手を煩わせたくはありませんから」
何故納得出来ないのかは彼自身にも分からない。
「それじゃあ……まるで奴隷みたいだろう……」
「奴隷……悪く、ないんじゃないですか」
何故そんな事を笑って言えるのか。
「奴隷である間は、自分の居場所が間違いなくあります……充分でしょう」
なら今の彼女の居場所は、
「それと比べたら私は更に幸せですよ……温かい食事が貰えて、優しい人が居て……コレを奴隷と言ったら……」
「止めろ!」
少年の叫びに彼女は眼を丸くしている。
少年は己の中に募る苛々に困惑していた。
「……すまない、いきなり大声を出して」
「いえ……、……くだらない話をして、すみませんでした」
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bkm
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