「ヒューゴと、同じ姓は名乗りたくないからだ……あんな奴と血が繋がってるなんて……虫酸が走る」
「家族……なのにですか」
「家族だからだ。家族だから……母も姉も捨てたあの男が……」
他人ならどれだけ良いか、何度そう思った事か。しかしコレを語る自分はきっと醜い顔をしているだろうと彼は心の底で嘲笑する。
彼女は、静かに呟いた。
「家族なんて、所詮は他人……なんだと思いますよ」
「…………」
“天涯孤独”、そんな彼女の呟きは重い。
誰にだって現在に至るまでの過去はある。ならば彼女にはどんな過去があるのだろうか。
「必要としてくれる人が居るなら……それだけで人は幸せだと、思います」
「必要……」
必要とされる幸せ、それはリオンにはよく理解出来た。
そしてヒューゴは彼女を少なからず“必要”としている、ならば彼女はそれで幸せなのだろうか。家族を道具としか思わず、弱者を簡単に切り捨て、ただ名誉を手に入れ様としている男に必要とされる事が。
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bkm
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