間違ってはいない意見。
それに反論したのは意外にもセシルだった。
「今のままだと、アイデンティティーを保った結果が、単にやかましい剣……ですね。有り難みが無い……とでも言いますか」
《……!? 有り、難み……!》
「一理、あるかもしれんな」
《ぼっ、坊っちゃん……!?》
多大なショックを受けたシャルティエは黙ってしまう。それはつまり再び沈黙が訪れたという事。
小さな食器の音を耳にしながらリオンは、どんな話を切り出すか迷う。自然に振る舞うにはどうしたらいいか、悩む彼に声を掛けたのは彼女。
「質問……してもいいですか」
「あ……ああ、構わないが」
一体何を、心の中で身構える彼に彼女は問う。
「何故……偽名を使っているのですか?」
「……!」
出来る事なら触れられたくない、嫌悪する部分。
はぐらかすか、一瞬そう考えたリオンだが、彼女がヒューゴの手先だと思っている己がそれを止める。手先だからこそ、この意思はハッキリさせるべきだと。
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bkm
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