「……好きなのか? 空を見るのが……」
見上げたまま彼女は答える。
「空は誰のモノでもありませんから……だから欲しいと思ってしまうんです」
「空が……欲しい?」
「はい……昔読んだ本に影響されたのだと思います。星の海を泳ぎ、本当に大切なモノを探しにいくなんていう……非現実な話ですが」
《ファンタジックですねェ……》
シャルティエの呟きが届いたのか、彼女は視線を落としほくそ笑む。
その表情が今までに無い程に“素”である様に感じ、ついリオンは眼を奪われてしまった。
「ファンタジックとは言いますが、科学的な興味もありますよ。あの空の向こうには何があるのだろうとか、太陽は何故あそこまで明るいのかとか……今の科学では知る事が出来ないからこそ、仮定を立てたりするのが楽しいんですよ」
「そう、か……」
語る彼女は本当に楽しそうで、流石にリオンも毒牙を抜かれた様な気分に陥る。
prev next
bkm
[back]