「ソーディアン……それも二本と来た」
「好都合だ、纏めて持ち帰ってやる」
《ぁあー……》
シャルティエが憂いの声を上げる。知り合いであろう“人”を相手にするのだから仕方ないが、マスターは構わず切っ先を三人の人間に突き付けた。
「リオン殿、セシル殿、報奨金の方、よろしくお願いしますぜ」
建物の陰から現れた小太りの男が二人に近寄り意地の悪い笑みと共に軽く頭を下げる。
彼を見取めた黒髪が指を差し声を荒げた。
「あーー!! アンタ、アタシ達を売ったわね!?」
「善良な国民としての義務を果たしただけさ、お嬢さん」
「何が善良な国民よ……! この詐欺師!」
《貴女もあまり他人の事言えないでしょう》
黒髪が持つソーディアンが溜息混じりに指摘する。どうやら彼女達はこの小太りの男、少々黒い噂を持つハーメンツ一の富豪ウォルトに謀られた様だ。
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bkm
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