23

 今更、という事が前提になってしまい考えが先に進まない。

 その間に時間はあっという間に過ぎ、気付けば外は夜になっていた。


《相手を怒らせる事なら得意なんですけどねェ……僕》

「それは奇遇だな……ペットは飼い主に似るというが……」

《僕ペット扱い!?》


 話が脱線してしまう事もある。


《いっそ、当たって砕けてみるのは?》

「砕ける前提で突進するのはな……」


 出せない決断、リオンはシャルティエに悪いと思いながらも躊躇する。

 そこでふと窓から見える庭に視線を向けた時、予想外の光景が眼に入った。


「なっ……!?」

《坊っちゃん、どうしました?》

「…………」


 彼はシャルティエを片手に早足で部屋を出る。

 使用人には目もくれず向かったのは庭、そこにあるベンチにその人は座っていた。


《セシル……何で……?》


 部屋で休んでいる筈の彼女は、リオンに気付いていないのかずっと夜空を見上げている。


prev next

bkm

[back]

第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -