今更、という事が前提になってしまい考えが先に進まない。
その間に時間はあっという間に過ぎ、気付けば外は夜になっていた。
《相手を怒らせる事なら得意なんですけどねェ……僕》
「それは奇遇だな……ペットは飼い主に似るというが……」
《僕ペット扱い!?》
話が脱線してしまう事もある。
《いっそ、当たって砕けてみるのは?》
「砕ける前提で突進するのはな……」
出せない決断、リオンはシャルティエに悪いと思いながらも躊躇する。
そこでふと窓から見える庭に視線を向けた時、予想外の光景が眼に入った。
「なっ……!?」
《坊っちゃん、どうしました?》
「…………」
彼はシャルティエを片手に早足で部屋を出る。
使用人には目もくれず向かったのは庭、そこにあるベンチにその人は座っていた。
《セシル……何で……?》
部屋で休んでいる筈の彼女は、リオンに気付いていないのかずっと夜空を見上げている。
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bkm
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