「身体に痛み等は無いか?」
「……大丈夫、です……ご迷惑をかけ、申し訳ありません……」
意識はしっかりしている様だが顔色があまり良くなく、体調不良なのは明らかだった。
「体調不良に気付いてやれなかった私にも責任はある……あまり気を使うな」
「は、い……」
「ん……暫く屋敷で安静にしていろ……いいな?」
「……分かりました……」
返す言葉も表情も全て弱々しい、今までの姿が嘘かの様に。そして同時に少年の心には新たな陰りが生まれる。
それは罪悪感、目の前の現実が生んだモノ。
「もう少し休んだら、リオンと共に屋敷に戻れ……話は通しておく」
「はい……」
フィンレイの支持通りリオンは、時間を置いて馬車で屋敷に戻った。訓練中起きた事についての話はしっかり通っていたらしく、使用人達は早々とセシルを彼女の部屋で休ませた。
《坊っちゃん、ちょっとだけでいいので、元気出してください》
「…………」
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bkm
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