本当にそんな可能性があるのだろうか、どんなに考えても“他”なんて思い浮かばない。
だが“無い”という証明をする為には本人の口から聞かなければならない。それをせず現状維持を望むのはただ逃げているだけ。
悩む少年を言葉が背中を押す。
「セシルは確かに貴方には態度が違うかもしれないけれど、貴方の補佐をしっかりやっていると思うわ」
「それは、そうヒューゴに命令されたから、だろ……」
コレも結局想像に過ぎない、本当の事を知るにはどうするべきかなんて今更考えるまでもない。
マリアンは言った。
「私がセシルに訊いてみようか?」
マリアンならばそれとなく訊けるかもしれない。だがそれでいいのかと己を叱咤しリオンは首を横に振った。
「僕が訊く……僕の問題だから」
「大丈夫?」
「うん……マリアンのおかげで見るべき点は見えたから、あとは勇気があれば大丈夫」
まだ弱々しいが意思は確かにある眼。
その眼にマリアンは告白した。
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bkm
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