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「客観的に自分を見過ぎてるから、自分の嫌な所ばかり見えてしまうのよ。人間って短所はすぐに見つけられるけど、長所を見つけるのは難しいから」

「でも、それは……僕が未熟者だというのは変わり無いだろ……」

「それは貴方から見た貴方よね? 私からしたら全然違うわ」


 他者から見た自分、それを考えた瞬間彼の動悸は少し激しくなった。何故かは分かりきっている、何よりも他者からの評価を恐れているのだ。

 だから何度も何度も自分は自分だと虚勢を張り、冷静な判断すらも無くしていく。

 出来るのはその恐怖を周りに悟らせない事だけ、だがそれも限界がある。もしかしたらそれは今なのかもしれない。

 そしてマリアンは告げた。


「私からすれば、貴方は立派な努力家よ」

「……!」


 一瞬、気を使っての嘘かと彼は考えた。疑っているわけではないが、疑心暗鬼に身を晒し過ぎている。

 それを晴らしたのもマリアンの言葉。


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bkm

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