否定の言葉なんて何の意味も無い、それは嫌でも理解している。だが言葉にしてしまうのは、今の自分がそれに相応しいからなのか。
子供である自分を嫌う間違いなく子供ではある少年は、虚しさすら感じた。父を憎んでいる事すら、間違っているのだろうかと。
「シャル……もう、わけが分からない……距離を詰めようとして、どうして自分の嫌な所が見えるんだ……」
《……坊っちゃん……僕が居ますから、今はゆっくり考えましょう……?》
フィンレイとマリアンは、コレをどう思うのか。
しかし後日、マリアンから出たのは意外な言葉だった。
「自分を理解出来ない人が、他人を理解出来るわけない……なんて言うけれど」
素直に打ち明けた少年の目の前に紅茶を置いて、彼女は微笑を浮かべる。
「エミリオは、客観的に自分を見過ぎているのかもしれないわね」
「……どういう、事?」
言葉の意味が分からず少年は首を傾げる。
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bkm
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