10

 否定の言葉なんて何の意味も無い、それは嫌でも理解している。だが言葉にしてしまうのは、今の自分がそれに相応しいからなのか。

 子供である自分を嫌う間違いなく子供ではある少年は、虚しさすら感じた。父を憎んでいる事すら、間違っているのだろうかと。


「シャル……もう、わけが分からない……距離を詰めようとして、どうして自分の嫌な所が見えるんだ……」

《……坊っちゃん……僕が居ますから、今はゆっくり考えましょう……?》


 フィンレイとマリアンは、コレをどう思うのか。

 しかし後日、マリアンから出たのは意外な言葉だった。


「自分を理解出来ない人が、他人を理解出来るわけない……なんて言うけれど」


 素直に打ち明けた少年の目の前に紅茶を置いて、彼女は微笑を浮かべる。


「エミリオは、客観的に自分を見過ぎているのかもしれないわね」

「……どういう、事?」


 言葉の意味が分からず少年は首を傾げる。


prev next

bkm

[back]

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -