途切れる会話、双方動かない。セシルはリオンを待っているのだろうが、リオンは違う。
「……おい」
「はい」
「……お前は、僕の付人で不満じゃないのか?」
この質問は拗れる、言ってから気付いたが既に遅い。
セシルは、軽く首を傾げた後ゆっくり答えた。
「特に、不満はありませんが……強いて言えば、朝が早いくらいでしょうか」
「…………」
全く読めない“内側”、そして余裕。それが腹立たしく、少年の心を揺らす。
「先に行け」
「ヒューゴ様からは一緒に来いと言われています」
「お前は飽くまで、僕の付人だろう」
「……分かりました。ですが早く来てください……模擬戦で私が全焼した事が気に入らないのでしたら謝りますので」
他の者には絶対に言わないであろう言葉。自分の敵意が原因ならば何とかしなければならないが、どうにもならない。
だから彼は睨み付ける。
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bkm
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