どうすれば今更“会話”が成り立つのか2人が悩んでいるとドアがノックされた。答えた後にドアの向こうから聞こえた声に、2人を緊張が襲う。
『リオン様、ヒューゴ様がお呼びです』
何時もなら短く返し、さっさと部屋を出る。だが今それをしたらこれから先もこうなってしまうだろうと考えたリオンは、シャルティエの言葉に励まされながら深呼吸をした後にドアを開けた。
当然視界の中に現れた彼女、少年は何とか表情を崩さずに口を開く。
「ヒ、ヒューゴが、僕を呼んでいるだと?」
「はい、何でも城に上がるので同行する様にと」
「……そうか」
父の目的は分かっていた、それは自ら開発したレンズ技術を使い王家との間に深い繋がりを得る事。その為に息子をも利用するのだろう、フィンレイと師弟関係となったのも悔しいがその縁なのだ。
何処までも強欲な男だと彼は思う。
「……すぐに行く」
「はい」
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bkm
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