確かにそれ以外に有効な手段は無い。だが他人との触れ合いが苦手な少年にとってそれを行う事自体、壁が高過ぎる。
実際フィンレイと現在の様な師弟関係が築き上げられるまで時間が掛かっていた。フィンレイ自身の“協力”が無ければ今も碌に会話をしていなかっただろう。
「……マリアンにも、相談してもいいですか?」
「もちろん、1人でやれとは言わないさ、私も努力するからな。……さて休憩はそろそろ終わりだ、セシル!」
「はい」
立ち上がったセシルは真剣な表情で2人に歩み寄る。その動きは規律正しいモノに見え、それがリオンの眼には時折父親に似ている様に感じ不気味にも写っていた。
「セシル、不調は無いか?」
「はい、大丈夫です」
「では訓練を続ける。リオン、敵が自分より背が高かった場合どう対処する?」
「それは……」
少年に“味方”は少ない。
「マリアン、相談したい事があるんだが……」
「どうしたの……?」
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bkm
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