だが彼女の方はフィンレイが驚く程に才能を発揮している。敵視されている事に気付いている筈、だから他の者とは普通に会話をするのに比べリオンにだけは時折嫌味を交えるのだろう。
それでも、フィンレイが言った通り無理をしているというのだろうか。
「リオン、彼女を無いモノを扱えるか?」
「…………」
出来るわけがない、彼女に対する敵意を捨てろと言っている様なモノ。ヒューゴが連れてきた女、それだけで敵と認定するには充分なのだ。
彼が慕うマリアンもそうではないわけではないが、心の底で“家族”を望む少年にはその存在価値自体が大きい。
どうしたらいいのか、少年は溢す。
「フィンレイ様……僕は……分かりません……」
「そうだな……難しいかもしれないが、彼女を知ろうとしてみたらどうだ? どんな人なのか分かれば、少しは冷静になれるかもしれん」
「それは……彼女との距離を縮めてみろと……?」
「しかないだろうな、今の状態だと。相手から直接自分の眼と耳で知るのが効果的だろう」
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bkm
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