あのヒューゴが善意で子供を引き取るわけがない、己の父を彼はそう考える。対してフィンレイは軽く頷き、難しい顔を見せた。
「そう、かもしれんが……しかし私は、彼女が自分の意思でヒューゴに従っているとは思えないんだ」
「……どういう事ですか」
「そう思っているだけさ、確証は無い。彼女とヒューゴはどういう関係なのかすら分からないからな……」
“飽くまで”ヒューゴ・ジルクリストの個人的な関係、そこに深入りするのは難しいが、不穏な気配を感じているフィンレイは付け入る“隙”を探していた。
だが彼の甘さとも言うべきか、不穏の象徴とも呼べる少女を彼は気に掛ける。
「ヒューゴの回し者だと考えるなら、彼女はずっとお前の傍に居るだろう。それをお前はずっと邪険に扱うか?」
「それは……」
今のままでは良くないと本人は分かっていた、実際鍛錬に身が入らない。
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bkm
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