「リオン、まだまだ踏み込みが甘いな」
「……はい」
フィンレイからの指摘にリオンは頷くだけ。傍でセシルは模造剣の切っ先を降ろし2人に視線を向ける。
「最近どうも集中出来ていない様だな……」
「そんな事、ありません」
「私にそんな嘘が通じると思っているのか? ……少し休憩にしよう、セシルもな」
「分かりました」
師の指示に従い静かな表情のセシルは少し離れた所にあるシャルティエを置いたベンチに腰を降ろした。
フィンレイとリオンはそのまま言葉を交わす。
「セシルの事が気に入らないのか?」
「そんな事……僕は僕ですから……」
「なるほど、やはり気にしているのか……確かに彼女の才能には私も驚いたがな」
「…………」
返す言葉が無い少年に、フィンレイは代弁した。
「女である彼女に自分が負けている……しかもヒューゴが彼女を連れてきたとあっては尚更、か?」
「……アイツは、ヒューゴの部下も同然です、僕の監視の為に居るのでしょう」
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bkm
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