12

 軽い口調のルーティだが、表情は重い。

 この場に居る皆は、ミクトランという男は己の野望の為ならば本当に何でもするのだと再確認する。


「そう、ですね……私は詳しい事を教えてもらってないにですが……恐らくそうなのでしょう。エミリオはずっと、家族というモノに憧れていましたから……勿論、私では母親代わりにはなりませんが……実際重ねていたのでしょう……彼女が現れるまでは」


 打ち明ける彼女の表情も、表面上は気遣いからか柔らかいモノだが、隠しきれない感情が窺えた。


「正直言いますと、彼女が現れるまで私はエミリオに対して同情しかありませんでした。父親には冷たくされ、母親には永遠に会えず……可哀想な子、としか思っていませんでした。
 でも彼女が現れ共に過ごす様になってからは、僅かながら年相応の顔を見せる様になって……私、嬉しいと思ったんです。そして何時しかエミリオは彼女を好きになり、私は2人が大切に思える様になり……そしてエミリオは貴方方と出会った」


prev next

bkm

[back]

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -