「……僕に攻撃“させよう”とするとはな、なかなか頭が働くようになったものだ」
「ディムロスに鍛えられたからな」
「だろうな、お前だけの力量では無理だ」
双方同時に駆け出し、激しい攻防を繰り広げる。模造剣故高い音は響かないが、その激しさは見る者を圧倒させた。
その内の1人であるルーティは無意識に呟く。
「アイツ等、ホント強いわよね……」
「そうだな、アレが彼等なりの覚悟なんだろう」
「……そうね……ねぇ、アトワイト」
《何? ルーティ》
彼女は彼等を視界に入れたまま己の気持ちを吐き出した。
「アタシ、もう誰にも居なくなってほしくないわ……」
《それは、当然の思いよ》
「ん、でもね、アイツ等を見てると、何かアイツ等死ぬんじゃないかって思っちゃうのよ……きっと誰よりも前に立って、誰よりも戦って、誰よりも傷ついて……そうなったら、勝っても意味無い……なんて、個人的な願望よね。世界を救うってのが大前提なんだから」
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bkm
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