そしてアシュレイに良い影響を与えた漆黒の翼はといえば、何故か武勇伝を披露していた。
内容は眉唾物だが、どうやら民衆の受けは良くお捻りが飛ぶ。当然スタンとマリーは楽しそうで、ルーティは呆れている。
「アレも才能か……報告が終わったらアイツ等と戻るのか?」
「ああ、アルメイダの人々が明るく振る舞えていられるのは彼等のおかげでもあるからな。俺も、此処と大神殿の中継地点であるあの場所をしっかり守らなければ……」
言葉にするその責任感は彼を押し潰すモノではない、彼を奮い起たせるモノ。
アシュレイは城へ足を向ける。
「リオン、世紀の瞬間には立ち会えないが、俺はお前達の勝利を確信してるからな。……またな」
この絶望的な状況だからこそ何かを見出す者が居る、去る背中は正にそれだろう。
それからもまだ漆黒の翼が武勇伝を語っている最中、不意にスタンが神妙な面持ちでリオンに声を掛けた。
「リオン、頼みがあるんだけど……」
「……、何だ」
見出そうとする者も居る。
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bkm
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