ただ事ではないと皆が後ろを見ると、侍女を2人連れた貴族らしき女性が此方に近づいて来ているのを知った。それに対し真っ先に反応したのはリオン。
「お、王妃!」
王妃、つまりこの国の王の妻。ウッドロウとジョニー以外が身を固くする。
少し弱々しい印象の王妃は軽く一礼し、そこへ慌てているドライデンが声を掛けた。
「お、王妃、お身体は……」
「大丈夫ですドライデン……今日は気分が良かったものですから、皆様の様子をこの眼で見たいと思ったのです」
笑う姿も何処か弱々しい。ウッドロウとジョニーが挨拶をしている途中、スタンは小声でリオンに訊いた。
「リオン、あの人……王妃様って身体が弱いのか……?」
「ああ、昔患った病気の後遺症とも言うべきか……あまり表には出てこない。言い方は悪いが、国王に子供が居ないのもそれが要因だ……まあ、当時は次代国王の候補が居たから、王は側室を望まなかったが……」
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bkm
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