《まあ何じゃ、ワシのマスターはもう決まっておるよ》
「え?」
老剣の一言に、ルーティの説明を受けたマリーを含め全員が驚いた。
口振りを考えるとセシルではない、ならば誰なのだと質問が飛ぶ前にクレメンテは言葉を続ける。
《フィリア、此方においで》
「は?」
知っている人名を聞いた皆は、部屋の出入口に視線を移す。入って来たのは、海竜で待っていたフィリアその人。
スタンが皆の代わりに声を上げた。
「フィリア!? どうして此処に……!」
「えっと……声が聞こえて、それを頼りに此処へ……」
《そう、ワシが呼んだのじゃよ。
フィリアや、ワシの傍へ》
「はい……」
剣に歩み寄る彼女は、ソーディアンの声が聞こえていなかった筈。信心深い神官である彼女が、そんな嘘をつかないのは間違いない。
ならばキッカケはクレメンテか、そうセシルは考えていた。
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bkm
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