失笑する彼に釣られてスタンはおかしそうに笑いながら頷く。それは、何時もの彼らしい笑顔。
少し安心したリオンは話した。
「僕も、世界を救うよりミクトランに復讐したいという気持ちの方が勝っている。言い方を変えれば、大義名分に託つけて自分の復讐心を正当化していると言ってもいい……復讐を果たした所で何にもならない、なんて考えたくないからな……現実逃避とも言うか」
「そんな事無い、リオンがミクトランを許せないっていう気持ちは俺達も持ってる。……セシルは、俺達の仲間なんだから」
「……そうだな」
心強い言葉、“もしかしたら”などという考えは何処かに行ってしまう。
2人は漸く歩き出し、医務室へ向かった。
「スタン」
「何だ?」
「ルーティに何を言われようが僕は慰めたりとかしないからな」
「えっ、あー……うん、大丈夫」
敢えてスタンを困らせたのは“知っている”からか。
彼は勝利への欲を少しずつ奮い起たせる。
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bkm
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