《言われんでも始めからそのつもりじゃ、老骨、いや老剣に鞭売って張り切るとしようかのう》

「あ、でも結局マスターはどうするんだ? やっぱりセシル?」


 船上でクレメンテの話が出た時から挙げられていた疑問を、スタンが口にする。

 一人の人間が二本のソーディアンを同時に扱うのは、恐らく不可能。今の状況下で存在するマスター候補は、セシルのみ。


「道中も話したけど相性があるからねェ……」

《老の力は後方からの広域晶術による支援、生粋の剣士であるセシルとはちょっと相性は良くないかもしれないわ。
 それに老は武器としての扱いは、斬るよりも殴る方が近いしね。形も大振りだから、物理的な意味でもセシルの戦い方とは全く合わないのも致命的よ》

《うーむ、アトワイトの説明は何だかトゲを感じるのう……》

《無理も無いと思うけどなぁ……》


 シャルティエは、誰にも聞こえない様に呟く。



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