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 少し慌てた様子で青年はその場を去って行った。

 その背中を見送りスタンは嬉しそうに言う。


「やっぱりさ、人間って凄いと思うよ、俺」

「行動しなければ意味が無い。やっと一歩を踏み出しただけなんて、評価する価値も無い」


 溜息を吐くリオンと笑うスタン、雰囲気は悪いモノではない。その一方でソーディアン達は千年前と今を繋ぎ考えていた。

 イクティノスは溜息混じりに呟く。


《千年前の遺恨はかなり根深い様だな……まあ、千年前に何が起きたかはよく知られていない様だが》

《生きるのに必死だったじゃろうて、事細かくまで伝える余裕も無かったんじゃろうな》

《だからこそ残ったのが、自分達の祖先は戦争に負けこの地に押し込められたという“理由”……他人を恨むなら、これだけの理由があれば充分ね》

《だが、だからこそ変化に怯えてきたのだろう……信じてきたモノを裏切るというのは、勇気が要るものだ》


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bkm

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