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 この現状から変わる為ならそれも許される事だろう。だがそうはしなかった理由はあり、青年は答えた。


「対立はしていても、ここで暮らしてきた家族で、仲間である事は変わらない……離れるのが一時の間だとしても、見捨てる様な真似は出来なかった」

「……まあ、裏切り者と罵られる可能性もあるわけだしな」

「ああ……そうこうしてるウチに空は閉ざされ、対立どころではなくなり殆どの人間は諦めた。そこにお前達が来て……あんな物騒なもてなしになってしまった、申し訳ない」

「此方としては、トラッシュマウンテンなんていう名前の土地に人間が住んでいる事に驚きだったがな。それにあんな声明があっては諦めるのも無理はないし、僕達も土足で上がり込んだ上に剣を抜いた……物騒なもてなしも慣れている、気にするな」


 リオンの言葉に青年は安心したのか、胸を撫で下ろし固い表情がほんの少し綻びる。

 話を聞いていたスタンが、そんな青年に質問をした。


「じゃあ貴方が薬をくれたのって……」


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bkm

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