※現パロ


 シカマルに「コンビニ行きたいなぁ」とだけメールを送ったらしばらくして、開いた窓から夏に似た風と、隣の家のドアが開いた音が入ってきた。耳をすませば「コンビニ」とシカマルが家の中に声をかけるのも聞こえた。
 ニヤニヤするのも抑えきれなくて、財布を持って携帯をジャージのポケットにつっこむと窓にコツンと何かが当たった。網戸を開けて下を見れば、シカマルがスウェットのポケットに手をつっこんで私を見上げている。

「よう」
「今から降りるー」

 階段をとんとんとリズミカルに降りて、リビングのお母さんに「コンビニ行ってくるねー」と声をかけた。

「一人で行くの?危ないでしょ」
「シカマルと!」
「あぁそうなの、行ってらっしゃい」

 普通なら男の子と夜二人きり、というのも危ないんだろうけれど幼馴染なので両親公認である。友達に羨ましがられるが、私たちにとっては当たり前でしかない。
 適当なサンダルを履いて玄関に出ると、シカマルが「風呂入ったのか?」と聞きながら歩き始めた。

「うん。何で?」
「すげぇ匂い」
「あ、シャンプーかな?最近変えた」
「あー」
「嫌い?」
「別に」

 シカマルはそう言うと片手はポケットにつっこんだまま私の腕を引っ張るから「おぉうっ!?」と変な声を出してしまう。あっという間にシカマルの右側から左側へ。

「…」

 車道側を歩いてくれるのは嬉しいんだけど、もうちょっと優しくできないものか。いや、急にわがままを言っても外出してくれるだけ優しいんだけどさ。しかもどさくさに紛れて手を繋いでくれるしさ。つまらなそうに欠伸をして後頭部かいてるけどさ。

「何買いに行くんだよ」
「え?」
「コンビニ」
「え、別に」
「…は?」
「え?」
「…ナマエ」
「えっ、やだっ怒らないでよっ。え、あ、じゃあ酢こんぶ!酢こんぶ買いに行こう!おごるよ!」
「……」
「…めんどくさい?」

 シカマルがはぁ、とため息をついたから少し不安になって顔を覗き込んだ。繋いだ手に少し力が入ってしまって、少し慌てたらなぜかシカマルも手に力を入れた。そしてシカマルは私を呆れたような顔で見ると「別に」と言い放つ。

「…ごめんね」
「謝られる方がめんどくせぇ」
「…」
「まぁ、最近あんま会ってなかったしな」

 俺もお前も忙しかったもんな、とシカマルは夜空を仰いだ。私もそれにならうと、星がちらちら光って静かな夜道をもっと静かにしたから心臓の音が聞こえるんじゃないかなと恥ずかしくなる。シカマルはそんなことどうでもいいみたいな、興味ないみたいな顔で空を見てるけど。

「…シカマル」
「あ?」
「好きだよ」
「…」
「…」
「こんなとこじゃしねぇからな」

 そう少し恥ずかしそうに言うから笑う。そうだね、近所の誰が見てるか分からないもんね、キスは今度にしましょう、と言うようにシカマルの肩にごつんと頭を押し付けたら「へーへー」とあしらうように言われた。
 星空に子供みたいに釘付けなシカマルくんよ、今度は君から誘ってね。


20120528
二十万打フリリク@峰河さん
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