銀ちゃんが寝ている。床で。
急に暑くなったから、たまらず冷たい床で眠ることにしたのだろう。まだお昼ですけどね。仕事もないですしね。

「銀ちゃーん。お昼ご飯できたよー」

 チャーハンだよーと続けるが、銀ちゃんはピクリともしなかった。どんだけぐっすり寝てるんだ。
 あーもう、としゃがんで銀ちゃんを覗きこむと額に少し汗をかいていた。最初は冷たかったであろう床はもうとっくに自分の体温でぬるくなってることだろうし、お天道様は真上に上がって気温も上がっている。

「ぎーんちゃん」

 起きない。あ、動いた。…寝がえりか、しかも背を向けやがった。
 横向きになった銀ちゃんの耳元の髪の毛はやっぱり汗で濡れていて、それだけなのに、可愛いなぁと思ってしまう。汗なんて誰でもかくのに。
 別に眠くはなかったけど、銀ちゃんの背中にくっつくように、銀ちゃんと同じ格好で横になった。銀ちゃんの背中は少し汗ばんでいて熱かった。少し見上げれば首元の髪の毛も汗で貼りついていて、やっぱり可愛かった。何でだろう。
 銀ちゃんの汗ばんだ背中に頭をこつん、と軽くくっつけたら銀ちゃんが少し動いた。そしてそのまま私の方にまた寝がえりしようとするが、私がいることに気付いたのか「あぁ?」と低い声で呟く。

「…何してんの」
「いや…お昼ご飯できたよ」
「あー」

 銀ちゃんは相槌を打ちながら大きなあくびをした。そして上体だけ起こして、寝ころぶ私を眠そうな目で見下ろす。

「今日の飯何よ」
「チャーハンよ」
「またかよ」
「まただよ」
「今日暑ぃな」
「暑いね」
「っつーかまじで何でそこで寝てたの」
「…分かんない?」
「…」

 銀ちゃんの汗で貼りついた髪の毛が可愛いから、なんて変な理由を言うわけにはいかなくて、曖昧なことを返したら銀ちゃんは私から視線を逸らした。そしてしばらく泳がせた後、少し顔を赤くさせる。あらら、何かが伝わっちゃった感じかな?

「…俺が今ナマエを抱きしめたい感じ?」

 びっくりして起き上がったら銀ちゃんは照れながら、目を逸らしながら手をおずおず広げてきた。もちろん飛びこまないわけにはいかない、抱きついたら汗ばんだシャツと生温かい体温に気温が合わさって熱くてたまらなかったけど、不思議なことに銀ちゃんが愛しくてたまらなくなった。

「そんな感じ」

 笑ったら銀ちゃんが「分かるわー」とふざけて言う。はは、銀ちゃんバカだなぁ、まぁこんな暑い日にこんなにくっついてる私たちは間違いなくバカなんだろうなぁ、でもそんなバカでいいよね、好きだよ。


20120526
二十万打フリリク@紫暮ちゃん
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